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- 加齢性黄斑変性症
加齢黄斑変性症の原因と分類
黄斑部の視細胞は、その下の層にある色素上皮細胞(しきそじょうひさいぼう)という細胞によって養われています。またこの色素上皮細胞は、さらに下の脈絡膜(みゃくらくまく)という、血管が多く走っている組織から栄養を受けています。加齢性の変化により脈絡膜の血管からの栄養が色素上皮細胞に供給されなくなるとその細胞に障害がおこり、その上にある視細胞もだんだん障害されて変性してきます。これを加齢性黄斑変性症といいます。
- 正常な黄斑部
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脈絡膜から栄養(青矢印)が網膜色素上皮に供給されている。
- 加齢黄斑変性症
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加齢性の変化により脈絡膜からの栄養(青矢印)が供給されなくなると、その上にある網膜色素上皮や視細胞が障害される。
加齢黄斑変性症には脈絡膜から発生する新生血管の有無により、滲出型と萎縮型の2つのタイプに分けられます。
滲出型は、加齢により色素上皮細胞に溜まった老廃物を取り除こうとしてその下の脈絡膜から新生血管が伸びて、色素上皮細胞を突き破って視細胞の中に入り込み、出血を引き起こします。
萎縮型は、加齢により色素上皮細胞の働きが悪くなり、視細胞がこわれて萎縮していきます。
治療は?
滲出型加齢黄斑変性の治療には、下記のようなさまざまな治療法があります。
(萎縮型は現在有効な治療法がなく、予防することが大切です。)
- 抗血管新生薬療法(抗VEGF抗体療法)
- レーザー光凝固術
- 内服薬
レーザー光凝固術は直接脈絡膜新生血管を凝固し治療する方法です。しかしこれらの手術を行っても実際は視力の改善が難しく、一定の視力を下回るような、症状が進行した場合に行われます。
しかし、近年レーザーを照射しなくても視力の低下を抑え、時に改善も期待できる抗血管新生薬療法(抗VEGF抗体療法)という治療ができました。この治療は一旦低下した視力の改善が期待でき、かつ視力の良いうちからでも治療が開始可能な、画期的な治療法として、加齢性黄斑変性症治療の現在の主流となっています。
抗血管新生薬療法(抗VEGF薬)とは?
体の中には、脈絡膜新生血管の成長を活性化させるVEGF(ブイイージーエフ)(血管内皮増殖因子(血管内皮増殖因子))という物質があります。抗血管新生薬療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより、新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。(当院でも行っています。)
詳しくは「抗VEGF抗体療法」へ